(公社)福岡県不動産鑑定士協会が行いました不動産市況DI調査結果の抜粋です。
令和3年1月1日を基準日とし、過去半年間(令和2年7月1日から令和3年1月1日)の不動産市場の推移に関する「実感」と、基準日以降の半年間(令和3年1月1日から令和3年7月1日)の不動産市場の動向に関する「予測」について福岡県内の不動産関連事業者にアンケート調査を実施し福岡県不動産市況DIとして集計を行いました。
【調査結果】
●地価動向(総合)
「実感値」半年前より改善するも都市による濃淡が見られる。
「予測値」半年前より全県的に改善が見られ、「実感値」より改善幅が大きい。
県全体・・・「実感」は▲10.4%、9.0%改善した。「予測」は▲26.7%、22.7%改善した。
福岡市・・・「実感」は▲5.9%、10.9%改善した。「予測」は▲24.5%、31.1%改善した。
北九州市・・「実感」は▲16.3%、1.3%悪化した。「予測」は▲24.6%、19.5%改善した。
●取引件数等
「実感値」「予測値」とも全項目でマイナスとなった。但しいずれの項目も大きく改善。特に戸建て販売のの改善幅が大きい。
県全体でみると
「実感」は「マンション販売」「戸建住宅販売」「仲介」「建築」件数が改善、
改善ですがマイナス幅が縮小した改善で依然▲20~▲34%です。
「予測」は「マンション販売」「戸建住宅販売」「仲介」「建築」件数が改善。
改善ですがマイナス幅が縮小した改善で依然▲22~▲36%です。
●フリーコメントの抜粋
■ 福岡市中心部は天神ビックバンによるテコ入れがあり、感染対策対応型が加速していくと思われるので地価は横ばいから上向くと思う。
■ 福岡市内の人口が伸びている以上はなかなか中心部にお相場は下がりにくいと思う。
■ 福岡市は売り店舗、売りホテルの増加などコロナの影響が多少でているものの、天神・博多駅の開発計画が進行しているため今後の動向は微弱ながらも増加傾向と思う。
■ 一旦減少傾向(取引)だったものが、2021年頭ぐらいから増加へ変わっていくと思う。
■ 住宅ローンを払いきれなくなった方が、すぐにでも売却したいと今より低く設定して売りに出されるのでは?
■ 新型コロナの状況次第で不動産の投資が下がる可能性。そうなると商業地、テナントの相場が下がる。
■ コロナ禍による民泊事業者、ホテル経営者の業績に大きな打撃を与えていることから、事業縮小に伴う物件売却の情報が出てきた。但し、価格については相場を大きく下回 るまでは今のところ見られない。
■ 福岡市内でも上昇傾向だった地域は横ばい若しくは下落すると思われる。特に飲食関係が多い地域は顕著に表れる。
■ 人口減と新型コロナの影響で、利便性重視の傾向が強くなり、市街地への集中が進み、周辺地域の値崩れがおこる。(以上は福岡市)
■ 二極分化(駅近の土地は上昇、郊外は下落)のい傾向はさらに進む。(北九州市)
■ コロナの影響も落ち着いてきて以前と同じようになってきた。(北九州市)
■ 北九州地区は人口減少が止まらず、しばらくは不動産価格の横ばいまたは下落が続く。(北九州市)
■ 水害危険区域の重説義務化で、土砂災害区域とも含め、該当地域は値下がり又は売れなくなる。平坦地は横ばいか値上がり。(久留米市)
■ 豪雨災害により、被災地は売買見込みがつかないと思う。(大牟田市)
■ コロナの影響を心配していたが、今のところ不動産の取引については特に影響はない。(柳川市)
■ 商業地のうち飲食店舗は弱いので。飽きが増加すると店舗用地は下がってくる可能性あり。(糟屋郡)
●【特別アンケート結果】
新型コロナウイルス感染拡大のによる不動産市場への影響
(質問)①令和2年3月以降の売り希望価格はどの程度変動していますか?
[住宅地]
県全体:(下落なし)46% (0~▲5%)15% (▲5~▲10%)17%
福岡市:(下落なし)49% (0~▲5%)17% (▲5~▲10%)14%
北九州:(下落なし)41% (0~▲5%)12% (▲5~▲10%)17%
[商業地]
県全体:(下落なし)32% (0~▲5%)12% (▲5~▲10%)15%
福岡市:(下落なし)39% (0~▲5%)14% (▲5~▲10%)13%
北九州:(下落なし)27% (0~▲5%)12% (▲5~▲10%)12%
(質問)②令和2年3月以降の成約価格はどの程度変動していますか?
[住宅地]
県全体:(下落なし)40% (0~▲5%)19% (▲5~▲10%)17%
福岡市:(下落なし)43% (0~▲5%)20% (▲5~▲10%)17%
北九州:(下落なし)40% (0~▲5%)14% (▲5~▲10%)20%
[商業地]
県全体:(下落なし)28% (0~▲5%)13% (▲5~▲10%)14%
福岡市:(下落なし)31% (0~▲5%)18% (▲5~▲10%)15%
北九州:(下落なし)25% (0~▲5%)11% (▲5~▲10%)11%
* 価格は、商業地と比較して、下落なしの割合が高く住宅地の底堅さが感じられる。
* 北九州市と比較して、福岡市の方が下落なしの割合が高く堅調さが感じられる。
コロナ禍の中でも、市場では住宅地を中心に底堅い需要があります。商業地は飲食店街を中心に、物件によって下落しているエリアもあります。取引件数が減少した中、全体としては現下の低金利、金余りの市場で、暴落もなく比較的底堅い動きをしていることが伺えます。令和3年2月末に緊急事態宣言が解除されたばかりであり、今後は取引が徐々に活発化してくることが予測されます。
株式会社第一鑑定リサーチ
不動産鑑定士 吉 田 稔