社団法人福岡県不動産鑑定士協会主催の講演会が行われました。
福岡県不動産鑑定士協会の社団事業の一つとして11月13日にNTT夢天神ホールにて講演会が行われました。講師は一部が日銀の福岡支店長さんでタイトルは「景気の現状と展望」、二部が地価調査委員長が講師でタイトルは「どうなる福岡の地価」でした。講演をお聞きになられた皆様もおられると思いますが、「どうなる福岡の地価」の内容を少し紹介させていただきます。
土地は建物等の敷地として一体で利用され、その一体とした複合不動産は長期に亘って使用収益が可能で、その収益性が持続することが肝要です。そして、そのように見込まれることで初めてその価値が見いだされるものです。
長期であるが故に、①金融情勢の急激な変化や、景気の動向等の一般的要因、②不動産が存する地域の発展要因(例:近くに駅ができる)や衰退要因(例:スーパーが閉鎖される)等の地域要因、③地盤が沈んだとか新しい道路が出来て角地になった等の個別的要因の変化により不動産の価格は変化します。
「どうなる福岡の地価?」 ここからが内容の一部紹介となります。
1,福岡の評価
①世界で最も住みやすい都市第16位
②政令市の中では最後まで人口が増え続ける都市
③国際会議が多い都市(東京、京都、横浜についで4位)ほか
2.福岡の経済
①博多駅建て替え事業(H23春開業)
②博多駅前1丁目に8月高級ビジネスホテル開業
③岩田屋本店跡にパルコがH22春に出店予定
④NTT都市開発が岩田屋本館隣接600坪の土地に商業ビル建設予定
⑤国体道路沿いにブルックスブラザーズが開店(移転)
⑥天神西通りに三井不動産の商業ビルが着工 ほか24項目あり
3.福岡市の現在の不動産市況
【事務所】
①オフィース賃料は景気悪化による需要減少、供給過剰による賃料下落
②空室率は約15%、この一年間で空室率5%UP、新築ビル空室率は50%超
③フリーレントは12ヶ月が横行、共益費を取らないケースもあり
*約10万坪の床が空いている アクロス福岡10棟分
*オフィース床ストック比率は東京1000、大阪300、名古屋130,福岡100
【住 宅】
①賃貸マンション用地はファンドに売却する事業スキームが皆無、需要激減
②分譲マンション用地は売れないため値引き販売、マンション用地の価格は下落
③戸建住宅用地は底堅い需要もあり、思ったほど大幅な下落はしていない
④賃貸マンションの家賃は、供給が多いため借り手が付きにくく下落が顕著
4.今後の下ぶれリスク
①雇用環境が良くない
②金融収縮で融資が抑制、企業収益の回復が遅れている
③相次ぐ不動産・建設会社の倒産マーケットに与える影響が甚大
④公共事業の減少
5.不動産市況の底支え要因
①新規の供給が一巡した
②賃料水準が底値に近づきつつある
③元気企業、特にTホーム、Jタカタ、健康食品会社3社ほか
④博多駅の新幹線開業
⑤ビジネスホテル需要は堅調
⑥建築費の下落
⑦中国経済の伸びとアメリカ経済の立ち直り ほか
福岡は目先地価の下落が続くが、人口増・九州新幹線の全線開業・国際会議の多さ・居住環境のよさ・空港が近い・アジアに開かれた都市等ポテンシャルが高く、景気回復基調に乗ったときいち早く地価の回復を見るであろうと結論づけている。
今回は一般向けの講演会でしだが、私たち不動産鑑定士協会では内部向けとして不動産証券化・不動産競売評価・建物評価等の研修会や利回り等の研究等を行い、日々研鑽に努めております。
このたびはたくさんの方に来ていただきまして本当にありがとうございました。