県全体として住宅地、商業地、工業地すべての用途で下落率は縮小し、福岡市の住宅地ではと商業地は5年ぶりにプラスになり、住宅地で12ポイントが、商業地で5ポイントが5%を越える地価上昇になりました。
平成25年地価公示(平成25年1月1日時点の価格)結果が発表されました。
福岡県平均では住宅地で21年連続の下落、商業地で5年連続の下落でしたが、下落率は工業地も含めて縮小傾向にあり、個別には福岡市を中心に地価上昇地点が急速に増加しています。
【住宅地】
都心回帰傾向にある中で、福岡市の住宅地は戸建住宅やマンションの需要が堅調で、その中でも、早良区では12ポイントが年5%を越える地価上昇率を示しており、そのすべてが百道中学校及び高取中学校校区でした。修猷館校区であることや西南学院も存し、居住環境・生活環境に恵まれた文教の街として人気は絶大です。
歴史的な超低金利を反映して総額3,000万円前後の新築住宅がよく売れています。また、早良区西新藤崎室見エリアを中心にマンションの売れ行きは好調で、マンション業者の素地の取得競争が激しく地価は10%以上上昇しました。福岡市住宅地の平均変動率▲1.9%(23年)→▲0.9%(24年)→+0.7%で(25年)で上昇に転じました。
北九州市の住宅地は長期下落で推移している中、下げ止まり・底打ち感が見られ、下落幅は縮小傾向です。北九州市住宅地の平均変動率▲3.2%(23年)→▲2.6%(24年)→▲2.2%(25年)でした。
久留米市は全体として縮小傾向であり、市中心部に近いエリアでは取引は活発です。特に中心部のマンション素地需要は旺盛で、販売も好調であり、高値取引も見受けられます。戸建住宅は、中心部の需要は底堅いですが、郊外部は苦戦しています。高額物件は医療関係者が下支えをしています。
久留米市住宅地の平均変動率▲2.8%(23年)→▲2.1%(24年)→▲1.5%(25年)でした。
筑紫野市、大野城市、春日市、太宰府市の旧筑紫郡の市町は下落率が1%未満で、福岡市のベッドタウンとして需要は多く、地価は底堅く推移しています。
その他
大牟田市が▲3.8%(23年)→▲3.7%(24年)→▲3.8%(25年)
飯塚市▲3.4%(23年)→▲3.2%(24年)→▲3.2%(25年)
柳川市▲3.7%(23年)→▲3.2%(24年)→▲3.1%(25年)
行橋市▲2.4%(23年)→▲2.0%(24年)→▲1.5%(25年)
宗像市▲4.1%(23年)→▲3.0%(24年)→▲2.5%(25年)
朝倉市▲6.1%(23年)→▲5.5%(24年)→▲4.7%(25年)でした。
【商業地】
福岡市の商業地は、博多駅周辺と天神西通り、西新、千早、高宮地区で地価が上昇しました。一昨年3月のJR博多シティの開業で九州新幹線全線開業の効果が見られ、博多駅前地区を中心に地価の上昇が見られました。天神地区ではバーニーズNYやH&M、フォーエバー21の出店で大いに注目を集めました。収益物件や事業用不動産が高価格で取引されるなど一等地は力強い動きを示しています。
福岡市商業地の平均変動率▲3.9%(23年)→▲1.6%(24年)→+0.7%(25年)で上昇に転じました。
北九州市は、消費が福岡市へ流出しており、取引も停滞、賃料も下落傾向にある等、先行き不透明感があり、依然として下落傾向です。現時点で格別の要因はなく停滞感が引き続きあります。
北九州市商業地の平均変動率は▲4.1%(23年)→▲3.4%(24年)→▲2.8%(25年)でした。
久留米市は▲6.0%(23年)→▲3.5%(24年)→▲2.4%(25年)と依然として下落率は大きいですが、マンション素地の需要回復を受けて縮小しました。中心部のアーケード街の空き店舗や歩行者数は回復傾向にあるもののまだまだ多い。オフィス街は企業の統廃合や撤退が進み、空室が目立っています。
日吉町の歓楽街の衰退も著しいです。
その他
大牟田市が▲4.9%(23年)→▲4.4%(24年)→▲4.3%(25年)
飯塚市▲6.4%(23年)→▲6.2%(24年)→▲5.9%(25年)
柳川市▲6.5%(23年)→▲5.1%(24年)→▲4.7%(25年)
行橋市▲4.6%(23年)→▲4.2%(24年)→▲2.8%(25年)
宗像市▲2.5%(23年)→▲2.1%(24年)→▲1.5%(25年)
朝倉市▲6.2%(23年)→▲4.6%(24年)→▲3.8%(25年)でした。
いずれの都市も縮小傾向でした。
【工業地】
工業地は震災復興需要や自動車産業の回復、太陽光発電用地としての需要等から、下落幅は縮小傾向にあります。
工業地域▲3.0%(23年)→▲2.7%(24年)→▲1.8%(25年)でした。
*地価公示結果による最高価格地
住宅地:福岡中央-2 大濠1丁目 518,000円/㎡(+3.4%)
商業地:福岡中央5-9 天神1丁目 5,780,000円/㎡(±0%)
*地価公示結果による上昇率1位
住宅地:早良-27 高取2丁目 259,000円/㎡(+10.7%)
商業地:早良5-7 西新2丁目 381,000円/㎡(+8.9%)
*地価公示結果による下落率1位
住宅地:小郡-1 小郡市津古 36,500円/㎡(▲8.5%)
商業地:飯塚5-4 飯塚市新立岩 65,300円/㎡(▲7.8%)
*現在の特徴的な動きとしては、アベノミクス政策への期待・金余り・低金利・株高による資産効果等を背景に、一棟の賃貸マンション等や店舗ビル等への投資家の購買意欲は旺盛で、どこの企業も買いの姿勢です。但し、優良物件はほとんどないのが実情で品薄状態です。商業地は売り手市場になっています。またマンション素地の取得競争も激しく、中央区、早良区の地下鉄沿線を中心としたエリアでも物件が少なく、希少性は高まる一方です。但し、建築費の高騰や、消費税増税(予定)も間近に迫っており、一部の大手のみが買い手となるケースが多くなる可能性が高くなっています。
今後も継続的に買いが入る可能性が高く、出物が少ないのと相俟って、地価は都心部を中心に急上昇する可能性が高くなりつつあります。