県全体として【住宅地の平均変動率】が+1.8%(昨年は+1.1%)と4年連続のプラス。【商業地の平均変動率】は+3.9%(昨年は+2.7%)、【工業地の平均変動率】は+1.9%(昨年は+0.8%)と2年連続のプラスに転じました。
平成30年地価公示(平成30年1月1日時点の価格)結果が発表されました。
福岡県平均では住宅地が4年連続のプラス、商業地は3年連続のプラス、工業地が2年連続のプラスでした。
【住宅地】
①福岡市の住宅地は低金利を背景に、ローン減税や住まい給付金、フラット35が手当てされているため戸建住宅やマンションの需要は引き続き堅調でした。
福岡市住宅地の平均変動率▲0.9%(24年)→+0.7%(25年)→+1.8%(26年)→+2.2%(27年)→+2.8%(28年)→+3.5%(29年)→+4.3%(30年)で6年連続の上昇です。
②北九州市の住宅地は長期下落で推移している中、下げ止まり・底打ち感が見られ、下落幅は縮小傾向です。北九州市住宅地の平均変動率▲2.6%(24年)→▲2.2%(25年)→▲1.6%(26年)→▲1.2%(27年)→▲0.9%(28年)→▲0.5%(29年)→▲0.3%(30年)で19年連続のマイナスでした。
③久留米市の住宅地は、旧久留米市を中心にマンション及び戸建て住宅の売れ行きは比較的堅調。旧郡部や郊外においては割高感が残っており未だ下落傾向が続いています。
久留米市住宅地平均変動率▲2.1%(24年)→▲1.5%(25年)→±0.0%(26年)→+0.2%(27年)→+0.3%(28年)→+0.3%(29年)→+0.6%(30年)で、4年連続の上昇でした。
②福岡都市圏の住宅地
筑紫野市[+1.1%(28年)→+1.2%(29年)→+2.1%(30年)]
大野城市[+1.8%(28年)→+3.5%(29年)→+4.8%(30年)]
春日市 [+1.9%(28年)→+4.1%(29年)→+5.8%(30年)]
太宰府市[+0.5%(28年)→+1.4%(29年)→+3.0%(30年)]
那珂川町[+0.7%(28年)→+1.3%(29年)→+4.2%(30年)]
新宮町 [+2.7%(28年)→+4.0%(29年)→+4.5%(30年)]
古賀市 [+0.3%(28年)→+0.9%(29年)→+1.6%(30年)]
福津市 [+0.7%(28年)→+0.9%(29年)→+1.7%(30年)]
粕屋町 [+1.1%(28年)→+2.5%(29年)→+5.2%(30年)]
志免町 [+0.6%(28年)→+2.5%(29年)→+5.4%(30年)]
須惠町 [▲0.3%(28年)→+2.1%(29年)→+4.4%(30年)]
宇美町 [+0.0%(28年)→+1.2%(29年)→+2.4%(30年)]
久山町 [▲0.7%(28年)→+0.4%(29年)→+0.5%(30年)]
篠栗町 [+0.1%(28年)→+1.2%(29年)→+2.5%(30年)]
糸島市 [+0.3%(28年)→+0.7%(29年)→+1.4%(30年)]
福岡都市圏の住宅地は、福岡市のベッドタウンとして需要は多く、地価は底堅く推移しています。また中古住宅の取引も引き続き活発です。
・その他主要都市の住宅地
大牟田市[▲2.2%(28年)→▲1.8%(29年)→▲1.4%(30年)]
飯塚市 [▲1.9%(28年)→▲1.2%(29年)→▲0.7%(30年)]
直方市 [▲2.1%(28年)→▲1.3%(29年)→▲1.0%(30年)]
田川市 [▲2.7%(28年)→▲2.5%(29年)→▲2.1%(30年)]
中間市 [▲1.0%(28年)→▲0.6%(29年)→▲0.3%(30年)]
柳川市 [▲1.5%(28年)→▲1.2%(29年)→▲1.0%(30年)]
八女市 [▲3.9%(28年)→▲2.8%(29年)→▲2.0%(30年)]
大川市 [▲2.3%(28年)→▲1.7%(29年)→▲1.3%(30年)]
筑後市 [+0.8%(28年)→+1.3%(29年)→+1.4%(30年)]
小郡市 [▲0.2%(28年)→+1.1%(29年)→+1.5%(30年)]
行橋市 [▲0.1%(28年)→+0.0%(29年)→+0.2%(30年)]
宗像市 [▲0.5%(28年)→▲0.2%(29年)→+0.6%(30年)]
朝倉市 [▲0.5%(28年)→▲0.1%(29年)→±0.0%(30年)]でした。
筑後市は5年連続で上昇、他の都市も上昇または下落率は縮小傾向でした。
【商業地】
①福岡市の商業地は、博多駅と天神界隈の両都心部を中心に、上昇の範囲及び上昇幅が拡大中です。但し、価格上位5位以内は昨年の上昇率が鈍化、また昨年20%を超える地点が5地点あったのが今回は0地点でした。価格上位5傑は天神、博多駅界隈に位置します。
天神地区は個人消費の回復基調とインバウンド消費を背景に、更には天神ビッグバンや大名小学校跡地再開発の影響による将来に対する期待感、博多駅界隈はホテル用地需要が牽引となって高い上昇率を示しました。またオフィス不足それに伴う賃料の上昇もあり、商業地は堅調でした。
投資マネーの動きについては、Jリートを中心とした投資ファンド、法人・個人の投資家の物件取得の需要は依然として旺盛で、これに資金に余裕がある企業の需要が加わっています。全国的にも東京以外で物件取得が目立っているのは福岡であり、福岡市が注目される理由は①アジアに近くインバウンド需要が期待できます、②福岡空港、博多港、九州新幹線博多駅等、コンパクトにまとまっておりターミナル性を有しています、③人口も政令市の中では最後まで伸び続けるため潜在的な購買力、住宅重要がみられます、④地震津波のリスクが少ないです、⑤新築オフィスの供給がなく、空室率が一貫して改善、賃料も反転上昇している等の理由が挙げられます。
・福岡市商業地の平均変動率
▲1.6%(24年)→+0.7%(25年)→+2.9%(26年)→+3.8%(27年)→+5.9%(28年)→+8.5%(29年)→+10.6%(30年)で6年続けての上昇で、上昇幅は拡大しました。
②北九州市は、僅かですが2年連続の上昇でした。北九州市商業地の平均変動率は▲4.1%(23年)→▲3.4%(24年)→▲2.8%(25年)→▲2.2%(26年)→▲1.5%(27年)→▲1.0%(28年)→+0.4%(29年)→+0.6%(30年)でした。
③久留米市は▲6.0%(23年)→▲3.5%(24年)→▲1.8%(25年)→▲0.5%(26年)→+0.1%(27年)→+0.5%(28年)→+0.9%(29年)→+1.7%(30年)と4年連続の上昇でした。要因としては、昨年に引き続きJR及び西鉄久留米駅徒歩10分圏内のマンション素地の需要の増大や六ツ門地区の「久留米シティプラザ」完成の影響を受けプラス傾向が続いています。
福岡都市圏の商業地
筑紫野市[+1.0%(28年)→+0.8%(29年)→+3.0%(30年)]
大野城市[+2.7%(28年)→+7.2%(29年)→+7.4%(30年)]
春日市 [+2.4%(28年)→+7.8%(29年)→+7.8%(30年)]
太宰府市[+3.4%(28年)→+4.8%(29年)→+6.3%(30年)]
古賀市 [+0.6%(28年)→+1.0%(29年)→+1.4%(30年)]
福津市 [+0.0%(28年)→+0.0%(29年)→+1.1%(30年)]
粕屋町 [+2.4%(28年)→+3.5%(29年)→+7.0%(30年)]
志免町 [+0.0%(28年)→+1.4%(29年)→+6.1%(30年)]
宇美町 [+0.0%(28年)→+0.4%(29年)→+2.4%(30年)]
篠栗町 [▲0.3%(28年)→+1.5%(29年)→+4.1%(30年)]
糸島市 [▲2.3%(28年)→▲0.3%(29年)→▲0.2%(30年)]
・その他主要都市の商業地
大牟田市[▲2.9%(28年)→▲2.5%(29年)→▲1.7%(30年)]
飯塚市 [▲3.2%(28年)→▲2.4%(29年)→▲1.5%(30年)]
直方市 [▲4.0%(28年)→▲2.9%(29年)→▲1.3%(30年)]
田川市 [▲3.8%(28年)→▲3.6%(29年)→▲2.9%(30年)]
中間市 [▲2.6%(28年)→▲2.5%(29年)→▲2.3%(30年)]
柳川市 [▲3.1%(28年)→▲2.2%(29年)→▲1.0%(30年)]
八女市 [▲2.8%(28年)→▲2.3%(29年)→▲2.0%(30年)]
大川市 [▲4.8%(28年)→▲3.3%(29年)→▲2.4%(30年)]
筑後市 [▲1.2%(28年)→▲0.9%(29年)→▲0.6%(30年)]
小郡市 [▲4.3%(28年)→▲2.8%(29年)→▲2.1%(30年)]
行橋市 [+0.0%(28年)→+0.4%(29年)→+0.5%(30年)]
宗像市 [▲0.3%(28年)→+0.0%(29年)→+0.6%(30年)]
朝倉市 [▲2.5%(28年)→▲1.3%(29年)→▲0.7%(30年)]
・将来の地価最高価格候補地付近(天神VIORO)
【工業地】
工業地は、県全体で+0.0%(28年)→+0.8%(29年)→+0.9%(30年)と2年連続プラスとなりました。
①福岡市[+2.4%(28年)→+3.6%(29年)→+5.0%(30年)]
引き続きJリートとへの組み込み、物流用地の需要増大、地下鉄駅近接地への需要増大。
②北九州市[▲1.2%(28年)→▲0.7%(29年)→▲0.2%(30年)]
自動車産業は堅調。下げ止まり傾向にある。
③久留米市[▲0.8%(28年)→▲0.3%(29年)→+0.4%(30年)]
鳥栖市工業地の需要増大に伴う用地不足の影響を受け、久留米市の工業地需要増。
④大牟田市[▲1.4%(28年)→▲1.0%(29年)→▲0.5%(30年)]
需要は依然として弱含みであるが縮小傾向である。
⑤京都郡苅田町[+0.0%(28年)→+0.8%(29年)→+1.0%(30年)]
自動車産業が好調で需要も堅調に推移、2年連続の上昇。
なお、福岡県内の最高価格地や地価上昇または下落率1位は次の地域でした。
*地価公示結果による最高価格地(県全体)
住宅地:福岡中央2 :大濠1丁目:698,000円/㎡(+7.4%)
商業地:福岡中央5-9:天神1丁目:8,720,000円/㎡(+11.1%) *地価公示結果による上昇率1位
住宅地:福岡東-42 :千早4丁目 :177,000円/㎡(+12.0%)
商業地:博多5-6 :博多駅前2丁目:2.590,000円/㎡(+19.4%)
*地価公示結果による下落率1位
住宅地:八幡東-7 :藤見町 :177,000円/㎡(▲4.2%)
商業地:田川5-1 :伊田町:28,100円/㎡(▲4.1%)
株式会社第一鑑定リサーチ 不動産鑑定士 吉田稔