県全体では下げ止まり傾向が顕著、福岡市中心部を中心に地価上昇・・・

福岡県地価調査結果の概要について~地価上昇エリアが拡大・・・~
地価動向の特徴と要因【住宅地】

(1)県全体の地価動向と要因
 県平均は、昨年の▲1.4%から▲0.8%に下落幅が縮小したが17年連続の下落となった。
(2)県庁所在地の地価動向と要因
・福岡市はH19年に上昇に転じH20年までプラスだったが、H21年以降再び下落に転じたが、 H23▲1.7%→H24▲0.3%→H25+0.7%→H26+1.8%とここ2年は上昇している。
・分譲地、マンション等の販売動向…マンションの売れ行きは福岡市中央区、早良区を中心に好調が持続。優良なマンション素地は入札で高値売買されている。注目のメルパルク跡地のマンション第1期7 5戸は2か月(坪200万円強)で完売。
総額3,000万円~3,500万円程度の新築の戸建住宅がよく売れている。
消費税増税による影響は見受けられたものの、超低金利に加えフラット35S等の政策効果とローン減税や住ま い給付金等が手当されているため引き続き堅調であった。
地価の先高感も手伝って住宅販売は好調。
(3)県庁所在地以外の地価動向と要因
・北九州市(▲1.6%→▲1.2%):住宅地の供給が多い一方で人口が減少傾向にあり、相変わらず
需給バランスがやや崩れている。人気エリアで3ポイントが上昇、横ばい地点も拡大した。
・久留米市(▲0.8%→▲0.3%):マンション、戸建住宅の売れ行きが比較的好調だったため下げ止まり感がある。旧郡部や郊外においては割高感により下落拡大。総じて落ち着いてきている。
・大牟田市(▲3.2%→▲2.7%):景気の低迷、人口の減少、高齢化に歯止めがかからず需要が弱い。
(4)その他特徴的な変動率を示した地域
・春日市(+0.6%→+1.1%)、大野城市(+0.4%→+1.1%)、糟屋郡粕屋町(+0.5%→+0.9%) 筑紫野市 (▲0.4%→+0.5%)、糟屋郡志免町(▲0.7%→+0.4%)、糟屋郡須惠町(▲1.0%→+0.4%)、
糟屋郡新宮町(▲1.9%→+0.1%)、筑後市(±0.0%→+1.0%)、行橋市(▲0.5%→+0.2%)と福岡市都市 圏外の地方都市にも広がりを見せている。
(5)その他
・福岡市の人口は、H25年9月現在約150.5万人に達しており、京都市の人口を上回り全国第6位、神戸市(約 154万人)を抜く勢いで、人口増加率は政令市の中でトップと見られる。筑紫野市、春日市で増加している一 方、北九州市、飯塚市、大牟田市で減少傾向である。
・投資資金の流入状況について…個人投資家が賃貸マンションや賃貸用の区分所有住戸を購入する例が多く見 られ、地場の富裕層だけでなく東京の投資家の動きは引き続き活発である。
J リートも事務所ビルや商業ビルを購入、地場事業会社も高額物件を購入した。

福岡市博物館
福岡市図書館

地価動向の特徴と要因【商業地】
(1)県全体の地価動向と要因
県平均は、H19年に15年ぶりに横ばいになったが、H20年以降下落に転じており、ここ数年は H23▲4.1%→H24▲3.0%→H25▲1.7%→H26▲1.0%となっている。
(2)県庁所在地の地価動向と要因
・福岡市(+2.3%→+3.4%):テナント需要は改善傾向であるが、賃料は概ね横ばい傾向。都心商業地は消費 者マインドの好転もあり、売上高は堅調に推移。新幹線等で集客力の向上した博多区で+5.2%、高容積の商 業地について旺盛なマンション素地需要が見られる中央区で+3.4%、早良区で+4.8%、南区で+2.4%のプ ラスとなった。
・福岡市オフィスの空室率は、H20年以降15%が続いていたが、ようやく8.70%(H26/6)
に低下した。1年前と比較すると約8,000坪の入居があった。
管内増床と拡張移転のほか域外からの新規需要もあるが、コストを重視した値頃感があるビルの引き合いが多 い。一部Sクラスビルでは上昇も見受けられる。
・投資資金の流入について、①金融商品と比較して収益用不動産の利回りが高いこと、
・リートも外部成長へ向けて物件取得意欲が旺盛であることから、投資目的で福岡市内及び近郊の商業用不動産が引き続き売買されている。
・高額物件の売買
① パルコ・旧岩田屋新館 約265億円、⑤天神ロフト 約44億円
② 中州ゲイツ 百数十億円、⑥九大跡地 2ヘクタール約117億円
③天神きらめき通りビル 約180億円、⑦ヒューリック博多ビル 約50数億円
④グランパーク天神 約47億円 、⑧Dプロジェクト福岡箱崎 約37億円

ヒルトンシーホークホテル&ヤフオクドーム

(3)県庁所在地以外の地価動向と要因
・北九州市(▲2.5%→▲1.8%):市勢の停滞傾向を反映し、地価は依然として下落基調。但し、下落幅は縮小 傾向。
・久留米市(▲2.6%→▲1.8%):マンション素地の需要回復を受けてJR及び西鉄久留米駅駅から
徒歩10分圏内は比較的堅調。
・大牟田市(▲3.3%→▲3.0%):中心商店街の空き店舗の増加により空洞化、衰退化の
傾向が続いている。新大牟田駅周辺でごくわずかであるが上昇した。

(4)その他特徴的な変動率を示した地域と要因
・春日市(▲0.3%→+0.1%)、大野城市(+0.7%→+0.9%)、行橋市(▲1.6%→+1.0%)

(5)その他
・大規模店舗の進出・撤退等の状況及び商況…コムシティ(八幡西区H25/4)、イオン小郡SC(H25/11)、イオン タウン黒崎(八幡西区H26秋)、パルコ新館(天神H26秋)、丸井(博多駅前hH28春)
・観光客数の推移・動向…H25/4アムステルダム直行便就航。アジアからの観光客は最近急速に戻ってきてい る。

地価動向の特徴と要因【工業地】
(1)県全体の地価動向と要因
県平均対前年でH24▲3.3%→H25▲2.3%→H26▲1.6%と下落幅は縮小した。

(2)県庁所在地の地価動向と要因
・福岡市(H24▲3.2%→H25▲0.4%→H26+0.9%):物流用地の需要が回復傾向にある。
駅近の土地はマンション用地として買い進まれている。

(3)県庁所在地以外の地価動向と要因
・北九州市(▲2.1%→▲1.6%):円安傾向を受けて自動車産業は好調だが、半導体産業の没落、電力料金の値上げ等から供給も多く、引き続き下落基調にある。
・大牟田市(±0.0%→±0.0%):工場地の価格水準は低く底値感が出てきた。
・京都郡苅田町(▲1.2%→▲0.6%):自動車輸出が堅調だったり、名古屋からの工場シフトにより下落幅は縮小 した。

(4)その他特徴的な変動率を示した地域と要因
・九州全体で見ると、佐賀県鳥栖市への流通業務施設の集中が加速している。福岡インター
周辺や箱崎ふ頭、アイランドシティ、久山町で物流用地の売買が見られる。(昨年度と同じ傾向)

*福岡中心部はかなり上昇してきたため、利回り低下や供給の減少から高値取引になりやすく、必ず買わなければならない場合を除き、購入に慎重さが増してきている。景気後退がささやかれる中、また株価の長引く調整や個人所得が思うように上がっていない状況及び建築費の高騰からして、将来の地価の調整も視野に入れた投資が行われるべきではないでしょうか。(第一鑑定リサーチ 不動産鑑定士 吉田稔)

福岡ソフトバンクホークス、パリーグ優勝及びクライマックスシリーズ勝利おめでとう