県全体としては全用途で下落しました。全用途では20年連続の下落、住宅地は15年連続の下落、商業地は5年連続の下落でした。
用途別に見た平均変動率は、
県平均で住宅地が▲2.7%→▲2.0%、
商業地が4.1%→▲3.0%、
工業地が▲3.8%→▲3.3%、
全用途平均が▲3.1%→▲2.3%でした。
ほぼ全用途で下落率は縮小しました。
住宅地は空前の低金利や住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支えにより、早良区の住宅地を中心に、利便性の高い市内の住宅地価は上昇し、その他のエリアでも下落率が縮小しました。モラトリアム法案の施行により不良債権化した中古住宅の供給が止まっているのも大きな要因です。マンション用地は活発な取引が行われ、優良物件の入札では最高で路線価の2倍を越える取引もあり過熱気味です。
但し、今後は職人さんの賃金高騰で建築費の上昇が見込まれ、また消費税の増税も相俟って、マンション素地取得には今後慎重にならざるを得ないと思います。
商業地も九州新幹線の全線開業及びJR博多シティビルの良好な集客力が維持され、天神地区では天神2丁目のNTT敷地跡に「アーバンネット天神ビル」の開業に続き、天神西通りに平成24年4月ラインビル跡地にH&Mとフォーエバー21が出店しました。
空前の低金利と福岡市の高いポテンシャルが投資を呼び起こしており、底値に近いと考える投資家が、今後の成長が見込めるエリアへの投資を増やすと考えます。
今後もさらなる金融緩和が行われるのがプラスである反面、最近の日中、日韓の関係が製造業、物販、観光を中心とした経済への悪影響に留意する必要があると思います。
地方も下落率は縮小傾向で、優良物件は需要も多く、一時の最悪期は徐々に脱出しつつあると思います。
但し、少子化や店舗の大型化、郊外化の流れは続き、既存の商業地や旧来の近隣型商業地の再生は、徐々に用途転換を伴いながら努力が行われているようですがなかな厳しいようです。
主な都市の住宅地と商業地のH23とH24の平均変動率は次の通りです。
福岡市 :住宅地▲1.7%→▲0.3%、商業地:▲2.9%→▲0.7%
北九州市:住宅地▲3.0%→▲2.3%、商業地:▲4.4%→▲3.4%
久留米市:住宅地▲3.5%→▲2.3%、商業地:▲6.3%→▲4.4%
大牟田市:住宅地▲3.8%→▲3.3%、商業地:▲4.6%→▲3.5%
飯塚市 :住宅地▲3.3%→▲3.0%、 商業地:▲5.3%→▲5.1%
柳川市 :住宅地▲3.2%→▲2.4%、 商業地:▲5.6%→▲4.1%
行橋市 :住宅地▲2.3%→▲1.3%、 商業地:▲4.5%→▲2.5%
宗像市 :住宅地▲3.2%→▲2.9%、 商業地:▲3.3%→▲3.6%
朝倉市 :住宅地▲4.4%→▲4.2%、 商業地:▲6.7%→▲6.6%
春日市 :住宅地▲1.1%→▲0.4%、 商業地:▲1.3%→▲0.8%
県内の高価格地ベスト3
住宅地:①福岡早良-3 早良区百道浜4丁目 260,000円/㎡ +2.0%
②福岡早良-10 早良区西新7丁目 254,000円/㎡ +5.0%
③福岡早良-16 早良区西新7丁目 245,000円/㎡ +5.
商業地:①福岡中央5-15 中央区天神1丁目 3,350,000円/㎡ ±0%
②福岡中央5-3 中央区天神2丁目 3,180,000円/㎡ +4.3%
③福岡中央5-2 中央区渡辺通4丁目 2,050,000円/㎡ ±0%
県内の上昇率ベスト3
住宅地:①福岡早良-1 早良区城西2丁目 199,000円/㎡ +5.3%
②福岡早良-16 早良区西新7丁目 245,000円/㎡ +5.2%
③福岡早良-2 早良区祖原 228,000円/㎡ +5.1%
商業地:①福岡博多5-1 博多区博多駅東1丁目 1,880,000円/㎡ +5.6%
②福岡早良5-4 早良区城西1丁目 295,000円/㎡ +5.4%
③福岡早良5-3 早良区西新3丁目 420,000円/㎡ +5.0%
県内の下落率ベスト3
住宅地:①久留米-19 久留米市田主丸町 22,800円/㎡ ▲6.9%
②飯塚-10 飯塚市長尾 16,900円/㎡ ▲6.6%
③宗像-17 宗像市池田 18,900円/㎡ ▲6.4%
商業地:①久留米5-6 久留米市田主丸町 39,800円/㎡ ▲8.5%
②飯塚5-1 飯塚市新飯塚 68,300円/㎡ ▲8.0%
③広川5-1 広川町大字新代 43,200円/㎡ ▲7.9%
*今後も都心部一等地及び住宅地の一等地中心から面的な広がりを見せつつあり、今後もしばらくは根強い需要に支えられ、地価は比較的堅調に移していくものと予測します。
(但し、欧州危機や、隣国との関係が経済に及ぼす影響に留意する必要があります)