天神地区・博多駅周辺・大濠地区は上昇、大名赤坂地区は横ばい傾向でした。
国土交通省は、主要都市の商業地及び住宅地の、四半期(3ヶ月)ごとに実施する地価動向報告(平成25年4月1日~平成25年7月1日の3ヶ月間)を発表しました。
それによりますと、天神地区・博多駅周辺及び大濠地区が0~3%の上昇、大名赤坂地区が横ばい傾向した。大名赤坂地区が前回下落から横ばいになりました。
博多駅周辺は前回に引き続き上昇傾向で、良好な資金調達環境や景気の回復傾向を反映して、オフィスビルや賃貸マンション取得の動きが活発化しています。新規供給がない状況の中で既存の一等地のビルはほぼ満室状態で稼働しています。当該地区における投資意欲は旺盛であり、投資利回りはやや低下傾向にあります。2016年度完成予定の博多駅中央街の再開発計画(JR九州・郵政)が進展中で、当該エリアに対する期待感は高まっています。博多駅前地区の地価は、概ね天神地区の50%程度であることを考慮すれば上昇余地は高いものと思料します。
天神地区の商況は徐々に回復しています。3月頃には天神四つ角近くで265億円のビル売買があり、また西通りで80億円超、国体通りで60億円程度の売買が行われるなど、投資は活発化しており、取引利回りは低下傾向です。取引は西通りでネット4%程度、国体通りで5%程度の模様であり、地価はやや上昇傾向にあります。新規のビル供給も少ないことから空室率は改善傾向にあり、現在は概ね10%程度まで下がっています。オフィス賃料自体は横ばい傾向です。天神2丁目や西通りの店舗賃料はごく一部を除き、坪5万円が上限であり、店舗賃料も概ね横ばい傾向です。
大名赤坂地区は、裁判所等の移転や警固断層問題があるものの、天神地区博多駅前地区での投資物件の品薄感による波及効果や、マンション適地としての水準まで地価が下落してきたことから底値感が定着してきています。オフィス需要の増加の可能性は低く、今後は住居系の用途を中心に需要が高まっていくものと思います。飲食店舗等は路面店は埋まっているものの、2階以上は空室が目立っています。客足が少し戻っている感はありますが、店舗の競争は厳しい状況に変わりはありません。
大濠地区は、マンション適地への需要は引き続き大きいため、地価はやや上昇傾向でした。分譲マンションの需要者は富裕層がメインであり、高額の分譲マンションでも完売するような比較的安定した需要が見込まれます。地価及び建築費の上昇が続いており、分譲価格が上昇することが見込まれますが、公園沿いなど立地条件がいいところは引き続き需要は高いと思います。投資採算性からすると、地価上昇余地は限られており、今後は消費税の増税や建築費等の上昇があり、素地取得にやや慎重になる時期にきています。マンションの賃貸需要は旺盛であり、一部の新築優良物件を除き、賃料は概ね横ばいです。
以上が4月1日から7月1日時点までの概要です。
引き続き不動産は動いており、不動産市場は活況を呈しています。そして、地価上昇エリアは拡大中であります。
マンション素地取得につきましては、建築費の高騰がネックになっており(ここ一年で15~20%上昇)慎重かつ大胆な判断が企業者に求められています。建築費の高騰から専有面積販売価格坪あたり100万円のエリアでは分譲マンションの供給が止まるか、値上げされるようになります。需要の見極めが難しくなりつつあります。
また、都心部の収益物件は品薄で、物色範囲は広がりを見せており、ネットの取引利回りはやや低下傾向にあります。空前の低金利とマネーの供給量の増大により、引き続き投資意欲は旺盛であると思われます。
本日、2020年オリンピック・パラリンピック開催地が東京に決まり、今後7年間は明るい見通しが立ちました。当面は総じて堅調な動きが続くと思われます。ただし、転売目的のような投機的な売買が増えることがあり、収益性での検証がますます重要になると思われます。