天神・博多駅・大濠の一等地の地価は横ばい傾向でした。
 国土交通省は、主要都市の商業地及び住宅地の、四半期(3ヶ月)ごとに実施する地価動向報告(平成22年7月1日~平成22年10月1日の3ヶ月間)を発表しました。

 それによりますと、天神・博多駅・大濠地区が横ばいでした。天神・大濠は過去半年が横ばいで落ち着いており、博多駅前は前回の微上昇から横ばいとなりました。大名赤坂地区は前期の▲3~6%から0~▲3%になり下落率は縮小傾向でした。商業地及び住宅地の一等地が落ち着いた動きをしており、地価の底入れが近いことを示唆しております。 但し、中心部から少し離れたエリアでは依然下落傾向が続いております。

天神:ソラリアホテル付近

 天神・博多駅地区は、オフィス賃料の下落に歯止めがかかっているものの、空室率は概ね横ばいであるため取引利回りについても横ばいです。天神地区では国内、国外の店舗が進出あるいは進出予定であり、エリアの繁華性は高まる一方です。博多駅地区はホテル需要は根強いものの、新博多駅ビル開業や九州新幹線全面開業を先取りした動きは今期は見受けられませんでした。
しかし、最近JR九州が博多ビルを取得し、将来の博多郵便局の開発と相俟って、駅周辺の再開発や今後の取引動向が注目されます。

正面が新博多駅ビル

 大名赤坂地区のオフィス賃料や店舗賃料の下落は、緩やかではあるものの継続しており歯止がかかっていない状況です。空室率も比較的高く、投資エリアとしてはややリスクが高いままであり、地価は下落傾向です。

赤坂明治通り:中央左が福岡銀行

 大濠地区は、マンションデベロッパーの用地取得意欲は旺盛で、その他の地下鉄沿線徒歩圏のマンション用地の需要も高いです。大濠地区は取引自体は少ない地域であり、周囲の取引動向も安定した価格での取引が多く、引き続き横ばいでした。

福岡タワーと百道浜タワーマンション

 通称モラトリアム法案の施行により、売り急ぎ物件が大きく減少し、実需中心の安定した取り引きが多いため、全市で下落幅は縮小しているものと思料する。城南区や早良区の地下鉄沿線では、戸建住宅の取引は多く、価格も安定しており、回復傾向は顕著である。この法案は1年延長されるため、ますますこの傾向は継続するものと思われる。

中洲 那珂川

 今年の初めから、ほんの少しですが変化し始めた取引環境は、来年3月の九州新幹線全面開業に向けて、じわじわと好転し始めているようにも感じられ、現実に高値の取引も散見されるようになりました。現在も強気のところや様子見のところが混在しておりますが、ゼロ金利の継続決定で今後の投資環境の好転に期待が持たれるところです。但し、円高等による景気への悪影響もあることに留意する必要があります。

西新プラリバ付近